先日テレビで阿部さんが「これから取り組まなくてはいけないのは老人問題と少子化問題。」と言っていました。
今回の選挙でも大きく取り上げられていた幼児教育の無償化はそれらの問題に対するアプローチの一つなのかもしれませんが、賛成、反対意見、様々な課題があるのも事実です。
これから子育てをされて行く方たちは単純に「無償なら嬉しいわー」と思われるかもしれませんが、果たしてそれが本当に今日本が抱えている問題を解決するのか。そこが重要です。
今回は今日本が抱えている問題や幼児教育無償化が及ぼす影響について、保育園に子供を預けている一主婦の視点から書いてみたいと思います。
幼児教育の無償化、大阪市での現状
お恥ずかしながら、私も調べていて初めて知った大阪市の現状。
平成28年4月から5歳児(年長さん)の保育料が無償化されており、更に平成29年4月から4歳児や一部の認可外保育園でも無償化が実施されていました。
他の先進諸国と比べて日本の幼児教育へ使われている金額が一番低いということと(OECD加盟国中で最下位)、幼児教育費を家庭から負担する割合が日本は最も高いということ。幼児期における教育の重要さから大阪市はこの制度を推し進めており、国への働きかけも行っていたとのこと。
確かに”3つ子の魂100まで”とは昔から言いますし、幼い頃に身につけた習慣や教わったことはずっと残るものかもしれません。
子供が少なくなってきている今、生まれてきた子供に良い教育を与え、将来の日本を支えていってもらうことはとても大切なことだと私も思います。
ただここで一つ疑問に思うことは、「幼児教育を無償化すれば子供が良い教育を受けられるのか?」ということ。
「お金がなくて幼稚園や保育園には入れられない」という家庭がたくさんあるのであれば、効果的な施策だと思いますが、保育園や幼稚園、こども園などなど様々な保育施設に通っている子供の割合は年々増えています。
厚生労働省が調べた平成25年度の保育園、幼稚園に入園している子供の割合は以下のグラフになります。
黄色が年齢別幼稚園への就園率。オレンジが保育園への就園率。紫が未就園率になります。
3歳児で86.1%、4歳児で95.4%、5歳児では98.5%の子供が就園しています。
5歳児で未就園は1.5%ですが、その中にも経済的な理由ではなく親御さんの方針から就園させていない方もいると思います。
子ども手当の案がでた当時に「ばらまき政策」という言葉も出てきたことがあります。あまり好きな言葉ではありませんでしたが、しっかりとした現状把握と施策から得られる効果が想定できなければ、国民・市民から集めた税金を無駄に使ってしまうことになってしまいます。
保育園無償化はいつから?自民党のねらい
私は自民党員でもなければ政治のことなどあまりよく分からないただの主婦ですが、自民党が幼児教育を無償化することでねらっている効果は次のことなのかな、と想像してみました。
- 少子化対策
- 将来の日本を支える人材育成
- 消費税増税の口実
まず1についてですが、私も現在子育てをしているのでなぜ日本は子供が少なくなっていくのかわかる気がします。
ちまたでは虐待やそれが行き過ぎ殺人といった悲しい事件も多く聞きますが、我が子を痛めつけてしまう親の気持ちを考えると胸が張り裂けそうになります。きっと助けが欲しかったのはお母さんの方なのではないかと。
幼児教育を無償化したところで少子化問題は解消されません。
これははっきりと言えます。
子供が少なくなっている根本的な理由がずれているからです。
金銭的な問題を口にして「お金がかかるから子供が産めない」という家庭も多いでしょうし、それが本当の理由だと、真の原因に気づいてない人もたくさんいるでしょう。
子供が減っていく本当の理由は「一人一人の愛が冷えている」ことにあると私は思っています。
夫婦の間が…とか、そんな直接的な理由だけじゃなく、単純に自分以外の人を思いやること、自分を犠牲にすること、忍耐すること、相手を受け入れて寛容になること、気長に待つこと、許すこと、怒るのに遅くなること、利益ばかりを求めないこと。時間や持ち物を与えること。
そういった、昔の日本にはあった愛の心が冷めてきている事が子供が減っている一番の大きな原因です。
母親は、子供が他人に迷惑をかけていないか常に気にしています。子供の無邪気さを受け入れられない大人が多いからです。
子供がいることで職場での肩身は狭くなります。皆「自分は損をしたくない」と思っているからです。
子供がいることで仕事を見つけにくくなります。会社は利益しか見ていないからです。
幼い子供たちが安心して遊べ、孤独なお母さん達に周囲の目や助けの手が差し伸べられ、「子どもを育てやすい日本」に変わらない限り、どんなにお金を出したところで少子化は止められないのだろうなと私は思います。
「道徳心・社会性、知性や体力の基礎を培う重要な幼児期に、 質の高い教育を行うべき」
大阪市が掲げている幼児教育の意義です。
子供が少なくなっているので、その分今いる子供たちに生き抜く力をつけてもらうことは将来の日本にとってとても大切なことだと私も思います。
ただ、先ほども書かせていただいたように「質の高い教育を受けさせる=無償化?」と、疑問は感じてしまいます。全体からみて金銭的な問題から幼児教育を受けられずにいる人の割合がとても少数なので効果がそこまで期待できないように思うからです。
よって2のねらいもねらい通り行くのか微妙なところだと思いますし、これは表向きのねらいなのかなとも思っています。
3の理由が私的には一番しっくりきています。何の理由もなく増税すると市民からの反発は大きくなりますが子育て世代にとってメリット(なように思われる)政策を打ち出し、それらの財源確保を理由に増税すれば、市民の意見は分かれます。
保育園が無償化することによるメリットとは?
以上の点をふまえると、無償化することで何かメリットがあるのだろうか?
幼児教育を受けさせる年齢の子供がいる家庭は無料で保育園や幼稚園に預けられるというメリットはありますが、それもせいぜい3年間という限られた期間。その間もそれ以降もずっと増税した消費税を支払うことを考えたらむしろ家計的にはマイナスです。
私個人の意見としては少子化対策にもならないと思うし、人材育成への貢献も現状とそんなに変わりはないと思う。
強いていうなら、保育料が無料になることで習い事をさせる家庭もちらほら増えるかな…(個人の自由なのでそんなには増えないかなと思ってます。幼児教育を重要視する家庭なら保育料がかかろうとかかるまいと習い事はさせるだろうし…)多少人材の育成に貢献はするのかな〜?
そんな感じです。
無償化にすることにより起こりうる課題
無認可の園も無償化になるのか?
当初認可園のみが無償化という案が出されていましたが、そうなると認可園の競争率は上がり、認可に預ける事ができた家庭とそれができなかった家庭とで大きな格差が開かれます。
私が問題と感じるのはたくさん働いている人ほど認可に受かりやすいという事。
たくさん働けない人は必然的に収入も少なくいが認可外にしか預けられない事で経済的負担も大きくなり、貧富の差はさらに激しくなります。
さらに「育児や家庭に支障が出ないように働く」という選択がしずらくなるということも、主婦としてはどうかと思います。がっつり働いて認可保育園に預ける方が経済的には潤いますが、時間に余裕がなくなることは子供にとっても家族にとってもプラスになるとは言えません。
認可の幼稚園やこども園に預けてゆるく働くという選択肢もありますが、それらも皆定員がありますので、認可の競争率が激しくなることは免れないでしょうし、落ちた時の不公平感は大きいでしょう。
保育士への負担は?
何度も申し上げている通り、いくら無償化したところで保育の質が向上しなければ、ただ競争を生み出すだけの政策となってしまいます。
この政策には保育士へはどのようなアプローチがあるのか。
今までも保育士の負担とそれに見合わない賃金のことは多く問題として取り上げられてきていますが、園を無償化し需要を上げたところで供給する「園」側のフォローはどのように行っていこうと考えているのか、そこが気になるところではあります。
まとめ
政治の問題を考える時にいつも「みんな自分の都合で考えるから最善を選べないし対立するし、争いがうまれるんだよな」という事を思います。
それは政治家ももちろん、投票し、支持している国民一人一人も同じこと。
全体を冷静に見つめ、自分の利益、不利益関係なくフラットな視点で物事を見定める事が出来る人は意外と少ないですが、そういった目を持って冷静に日本を見つめる事がとても大切なことではないかなと思います。
幼児教育の無償化。まだまだ課題はありますが、国民一人一人が賢く政治を支え、支持していけるようにと願います。
はじめまして、このサイトの管理人pikariです。
中国人の旦那を持つ日本人妻であり、二人の男の子と一人の女の子を育てるワーママです。
子供ができてからずっと「育児も仕事もバランスよくできる職場」を模索し続け、たどり着いた今が2種類の自営業を掛け持ちしつつ旦那の事業を手伝いつつ育児をするという、超アンバランスで不自由なような自由な生活。笑
理想の生活にはまだたどり着けていませんが、育児も仕事も、日々反省しながら一歩一歩、少しづつ前進している毎日です。
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