中国の育児文化。日本との違いを考えます。

東京都以外では無償化しない0〜2歳の子供 中国文化

 

ネットで「育児」と検索すると、「乳幼児の養育・世話をすること」と出てきます。

乳幼児とは、一般的に小学校に行くようになる前の子供たちのこと。養育・世話とは、子供達に、愛情をかけ、成長を見守り、安心・安全な環境をつくること。

育児の範囲は、日本も中国も変わりません。

でも、育児の仕方、つまり育児文化は、日本と中国の社会構造の違いを反映して、異なる部分が大きいようです。

今回は、お隣りの中国では、どのような育児文化があり、実際にどのような育児が行われているのかを、調べてみました。






中国の育児は祖父母の役割が大きい。

祖父母と孫

日本だと、祖父母の孫に対する育児は、愛情をかけるのに留まるのが一般的です。

子供の成長や環境づくりは両親の役割。祖父母は、口を出さないようにしています。

一方、中国では、伝統的に、祖父母が孫の育児に積極的にかかわります。

 

中国では両親も、子供も、一人っ子

中国では、1979年から2015年の間「一人っ子政策」が採られていました。一部の例外を除いて、子供は一人しかつくれません。

今の中国のお父さん・お母さんたち、20代・30代の両親は、ちょうどこの期間に生まれ、子供をつくっています。つまり、両親とも一人っ子で生まれ、一人っ子を持っている三人家族というわけです。

こうして、1人の乳幼児にとって、6人の親・親代わりがいる環境が生まれます。

 

祖父母にとって「孫育て」は生きがい

中国のおじいちゃん・おばあちゃんは、まだ若い人が多く、元気です。

そのわけは、子供をつくる年齢が、日本に比べて若いからです。

・中国人の結婚年齢は20代が多く、20代のうちに子供をつくろうとする。

・子供が生まれた時、祖父母はまだ50代と若い。

・その一方で、会社を定年になるのは、男性55歳・女性50歳と、日本に比べて早い。

・中国のおじいちゃん・おばあちゃんは、まだ若く、元気で、時間を持て余している。

 

両親にとって「祖父母のサポート」は当然

中国は共働き社会です。

お母さんたちも、生涯働き続けることを当然のように考えています。共働き夫婦にとって、祖父母のサポートは、欠かせないものになります。

また、自分が働いている、20-50歳の30年間の間に、子供と祖父母の関係を密にしておくことで、自分が定年になった後、また孫をお世話し、孫にお世話になろうとする意識が背景にあるとも言われています。

30年単位での、子供とまたその子供、孫との交流計画があるのですね。

そのために、愛情だけでなく、成長や環境づくりのための資金的なサポートも、ごく一般的なことのようです。

 

孫は家族みんなの「宝」

私が北京に出張していた時、子供が生まれたばかりの、若い中国人社員のご家庭を、訪ねたことがありました。

北京郊外の2LDKのマンション。

その時、夫側のおばあちゃんがいらしていて、孫を抱いて初対面の私のところまで、わざわざ生まれたばかりの孫を見せに来てくれました。

それもごく自然にです。ほら、自慢の孫ですよ。誇らしい。本当に「家族みんなの宝」なんだなと、グッときました。





中国の育児の変化は、男性の育児休暇制度が出現したこと。

男性の育児休暇が増えている中国

そんな中国の育児文化に、変化のきざしが見え始めています。

中国社会には、育児休暇という発想は、これまでありませんでした。

産休はあるが、育休はない

女性には、出産の前後、産休が与えられます。日数は、日本と同じ98日間。

でも、育児休暇という発想、しかも男性が育児のために休暇を取るという習慣は、実際のところ、無かったのです。

 

二人っ子政策を契機として

それが、2015年の「一人っ子政策」の廃止によって、変わりつつあります。

例えば上海では、それまで98日間だった女性の産休が30-80日上乗せされ、育休も30日与えられるようになりました。男性についても、新たに10日間の育児休暇が新設されました。

「二人っ子政策」促進のために、両親への負担軽減策が、必要とされているのです。

 

伝統的な「父親は学習、母親はお世話」からの脱却

これまでのように、父親が子供の学習を支え、母親は子供のお世話をするというような、伝統的な役割分担はすたれていくでしょう。

父親も「お世話」的な育児に参加する機会が増え、男性の育休などの制度も、より普及していくものと思われます。





変わりつつある、中国の育児事情。

中国の育児事情

最後に、今、中国の若い両親が直面している「育児事情」について考えてみます。

「一人っ子政策」がもたらした高齢社会

1人の子供が4人の親の介護をしなければならなくなる。将来必要な親の介護費用が、育児世代の、大きなプレッシャーになりました。共働きで働き続けないと、お金が不足してしまう。

 

都市化で増えた核家族

一方で、経済成長が、都市部への人口の集中化を生み、夫婦二人だけの核家族が増えました。祖父母とは距離が生まれ、育児への日常的なサポートは見込みにくくなります。

 

増大する養育費

都市部では生活環境の汚染が進み、小さな子供を、清潔で安全な環境で育てるためのコストがますますかかるようになっています(日本製のミルクやおむつを買うために)。

 

ワーキングマザーとスーパー主夫

必然的に、母親は、仕事に、育児に、家事に、フル回転することになります。

父親も、なんでもこなすスーパー主夫化します。これが都市部での育児の現実です。育児世代は、ノン・ストップなのです。

 

増える育児代行サービス

両親が休暇を取るために、有料の育児・家事代行サービスを利用するようになります(公営の保育園は、とっくにオーバーフロー状態です)。

お金でサービスを買う生活。子供との接点の希薄化と、小皇帝化(わがまま化)が、心配ではありますが。

 

「共働き」×「共育て」社会へ

ただ、中国社会は、子供に優しい社会です。「子供は社会の宝」と考えていて、地域のコミュニティや勤めている会社が、いろいろ相談にのったり、助け合う伝統があります。

このことは、中国で子育てしている、日本人の若い両親が、口を揃えて言うことです。中国は子育て家族にとても優しいと。

中国社会の育児は、若い両親の頑張りと、地域社会の寛容(の伝統)に支えられているのだなと思います。

男女の給与格差が少なく、「同一労働・同一賃金」の原則が生きている中国。

そんな社会の特徴の中で、中国の育児文化は、ますます「共同」の色彩を強めていくのだと思います。「共働き」だけでなく「共育て」へ。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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